第2回オープン・イノベーションに役立つCVCの活用法
CVCファンドの設立形態と設立ステップ
CVC運営の4つの形態
事業会社がコーポレート・ベンチャーキャピタルを運営するにあたっては、主に4つのパターンがある。
- 本体勘定から直接投資する
これは、CVCファンドや子会社VCを設立せず、本体から直接投資するパターンである。
この形は、意思決定に時間がかかったり、VC投資ノウハウを自社ですべて持たなければならなかったりなどの課題やハードルがある。 - 子会社のベンチャーキャピタルを設立する
これは、100%子会社として、自社のベンチャーキャピタル会社を作ってしまうパターンである。ベンチャー投資担当者を採用したり、養成したりすることが必要なだけでなく、ファンドのように期限がないため、ガバナンスが効きにくいという課題がある。
- 外部のベンチャーキャピタルとともに二人組合を設立する
これは、外部のベンチャーキャピタルとともに、民法上の任意組合または投資事業有限責任組合を、2社で設立し(2社だけで設立するファンドのことを「二人組合(ににんくみあい)」と呼ぶ)、共同で、専用のファンドを運営していく形である。このパターンは、ファンドの投資委員会で意思決定ができるように、権限移譲することができたり、ファンドがあることのアナウンスメント効果があったり、様々なメリットがある。詳しくは、第4項で解説する。
- 外部ベンチャーキャピタルのファンドに他の投資家とともにLP出資する
これは、ベンチャーキャピタルが組成するベンチャーファンドに、他の複数の投資家とともに、LP(リミティッド・パートナー)として、投資するパターンである。この形の場合、自社の関心のない分野に投資されてしまったり、投資された有望案件の取り合いになったりという課題がある。
冨田 賢 (とみた さとし)
Satoshi Tomita, Ph.D.
株式会社TCコンサルティング 代表取締役社長
博士(政策・メディア)