紙媒体でのニューズレター『冨田賢の新規事業のための賢’s 情報Station』の2015年3月号を発行いたしました!(巻頭特集:新規事業チームの最適人員は何人か? 〜チーム肥大化による問題の理論的背景〜)

紙媒体でのニューズレター

『冨田賢の新規事業のための賢’s 情報Station』

の2015年3月号を発行いたしました!


当社は、電子メールのメールレター(配信申込とバックナンバーはこちら!)に加え、

毎月1回、紙媒体で4ページのニューズレターを発行しております。

 

巻頭特集や、セミナー開催報告・開催情報、

冨田賢からのメッセージを掲載しています。

 

画像や写真満載です。是非、ご覧ください♪

 

★2015年3月号のニューズレターのPDFファイルは、こちらをクリック!TC_News_Letter_201503Web

 

なお、コンサルティング先企業の皆様には、印刷業者で印刷したものを、

ご郵送させていただいております。

 

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<内容>
 
●巻頭特集

新規事業チームの最適人員は何人か?

~チーム肥大化による問題の理論的背景~

●冨田賢のWorking Space

●セミナー開催報告

●セミナー開催情報

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巻頭特集の部分のJPEG画像は、下記となります。

 






<巻頭特集のテキスト・データ>

新規事業チームの最適人員は何人か?
〜チーム肥大化による問題の理論的背景〜
 
 新規事業立ち上げを行う際は、新規事業チームを作ることが必要となります。では、新規事業チームは、何人で構成するのが、最も効果的なのでしょうか?
 私は、日頃から、多くのコンサルティング先企業さんの新規事業の担当者の人数を見ていて、多すぎるなぁ、と感じることがあります。(もちろん、新規事業向け人材の確保が課題となるケースも、多々ありますが…。)
 チームの人数が多すぎ、肥大化すると、非効率が生まれます。私は、5〜6名、せいぜい、8名が適正だと考えています。担当者という意味では、メイン担当者1名、そして、サブ担当者1名の2名が適切だと考えます。
 今回のニューズレターでは、以下のように、Amazon・CEOのペゾス氏やEvernote・CEOのリビン氏の意見、その他、チーム肥大化に関する学術的な説明を紹介いたしたいと思います。
 
2枚のピザ説
Two Pizza Rule by Jeff Bezos 
(CEO, Amazon)
 AmazonのCEOのベゾスは、チームのサイズ(人数)を選ぶ基準として、生産性の観点からピザを例えとしてあげています。2つのピザで賄えないチームは大き過ぎるというのです。つまり、これはピザを1人2切れ食べるとして、1枚のピザを6〜8切れにすると考えると、6名から8名を意味しています。
(The Wall Street Journal October 15, 
 2011の記事より)
 
 
ディナーテーブル説 
by Phil Libin (CEO, Evernote)
 
 EvernoteのCEOのリビンは、開発チームは5名〜8名がよいと、ハーバード・ビジネス・レビューのインタビューで答えています。開発は、ディナーでの会話を9ヶ月間続けるようなもので、それはディナーテーブルを囲めて、会話が成立するくらいの人数がよいという考え方です。また、Evernoteの仕事が使命と考えている人が集まっていることが大切で、Evernoteの仕事を単なる仕事と考えている人が増えないようにしていると述べています。EvernoteCEOの組織運営の考え方は、とても参考になりますので、ご興味のある方は、2013年12月「ハーバード・ビジネス・レビュー」(日本語版)Evernote・CEOのPhil Libin氏のインタビュー『企業文化こそ製品の価値である』をご覧ください。
 
集団脆弱性
by Hackman(Harvard大学心理学部教授)
  
 ハーバード大学心理学部教授のリチャード・ハックマンは、チーム肥大化の問題を指摘した学者です(世の中の「チーム礼賛」の風潮に対して疑問を呈したのは、チーム研究の第一人者でもある世の中で信じられているチームワークに関する定説が真実ではなかったことを暴いた学者)。
 “リソースの豊富な大きなチームよりも、限られたリソースの小さなチームの方が生産性が高い”
 メンバーが増加することによって、メンバー間の関係性の量は上記の式で説明できるように、急激に増大します。ソーシャル・ロゥフィング(Social loafing、社会的手抜き理論)や貢献度の配分ミスなどが発生し、メンバーがやり遂げるために対応しなければならないプロセスでの問題が増大します。急激に脆弱性が生じてきてしまう。それは、関係性の数として説明できます。
 関係性が増大することで、メンバー間のコミュニケーションは課題について話しをするより、一般的、表面的な会話をすることが必要とされ、コミュニケーションの質も低下します。
 
社会的手抜き(Social Loafing)
Ringelmen(ドイツ、心理学者)他多数
 
 「社会的手抜き」については、ドイツの心理学者リンゲルマンをはじめ、多くの心理学者や組織論の学者が論文でまとめています。
 これは、1人で作業をするときと反対に、集団で作業するときに発生する没個性(de-individuation)の現象として発生するものが「社会的手抜き」と呼ばれるものです。意識的か無意識的かに関係なく、1人でやるときよりも集団状況のほうがより多く努力が発揮されないことが明らかになっています。一般的には、右記の式によりコミュニケーション・リンク(人と人の関係)の増大が説明されます。
 
 
 逆方向の関係性も考えれば、式の割る2が取れます。
 それを、グラフに重ねて見ますと、次のようになり、さらに、コミュニケーション・リンクが加速度的に増大していくことがわかります。これは、冨田賢オリジナルです。
 
 
 アメリカのGullopの調査(2014年)では、10名以上のチームでは組織への関与度が一気に低下することが明らかになっています。
 これらのことからも、チームの人数は、10名未満、そして、先に紹介した二人のアメリカを代表するIT企業のCEOの経験的法則からは、5〜8名が良いでしょう。
 ちなみに、そのため、ハーバード・ビジネス・スクールでのグループの単位は、6名以内とされています。
 もし、あなたの組織のチームや、一つの会議体の人数が、この人数を超えていたら、見直しを検討しましょう。
 新しくチーム編成を行う時は、くれぐれも、人数が多くなりすぎないことを気をつけましょう!

冨田 賢 (とみた さとし)

Satoshi Tomita, Ph.D.

株式会社TCコンサルティング 代表取締役社長
博士(政策・メディア)

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